始動した再逆転への亀田リベンジ
世界タイトルマッチという権威あるリング上で繰り広げられた反則だらけの滑稽試合。その試合直後から始まったマスコミとの形勢逆転劇。三日天下とは、まさにこういう状況のことを言うのだろう。やりたい放題にふるまっていたポジションを追われ、連日にわたってテレビから流れる「亀田家」という響きが、いまでは空しい喪称のように聞こえる。芸能リポーターや記者たちの要領を得ない質問の中身は置くとして、もうあまり書きたくない亀田問題だが少しだけ追加したいと思う。
先日の興毅のネクタイスーツ姿での会見が、世間では思いのほか好印象に受け取られているようだが、あの謝罪内容は果たしてどこまで正面から受けとめられるものだろうか。弟の切腹発言の身代わりでもあるかのように腹をくくって臨んだ決意はわかる。長男としての立場を強調し、口先ばかりのふがいない父親をかばう気持ちもいいだろう。また、広い世間の父親のレベルも知らずに、世界一の父親を公言するのも仕方がないことだ。しかし謝罪会見の具体的な内容を聞いていくと、煮え切らない個所が残るものであったことは正直言って否めなかった。その大きなものが、やはり例の反則指示に関する部分だ。まるで国会議員の答弁のように何度も曖昧な言葉で繰り返して答えようとする様子は、見ていてもすっきりしない違和感が残るものだったし、言葉使いにしても以前のようなタメ口の部分が多く残っていた点も気になった。
彼らの言葉使いについて思ったのだが、今回の処分の条件として、今後いっさい横柄な言葉使いをしないという取り決めや約束事をするべきだったのではないだろうか。三男の和毅にいたっては、いまだにひと回りも年上の記者に対して相変わらずの口のきき方をしている映像が、海外での現在のものとしてテレビですでに放送されている。
余談としての素朴な疑問なのだが、彼らが誰を基準に敬語の境界線を使い分けているのかということに興味が湧いている。自己流のスタイルを今後も押し通しながら本気でツッパって生きていくつもりなのであれば、たとえ総理大臣やあるいは日本のそれ以上の人物と対面する機会が仮にあったとしても、ぜひ従来の横柄なしゃべり方のままで押し通してもらいたい。そうでなければ、彼らのやっていることは筋が通らないだろう。そんな場面を少し想像してみただけでも、彼らのこだわりがいかに空しいものであるかがわかる。さらに余談になってしまうが、記者というのはなぜ彼らに対して質問するときに、「おありですか? 」とか「されましたか? 」とか「思われますか? 」とか「おっしゃっていましたが・・・」などというような訊き方をするのだろうか。ふつうに「ありますか? 」や「しましたか? 」や「思いますか? 」や「言っていましたが・・・」で十分ではないか。若手の芸能人などに対しても同じことなのだが、聞いていて不自然な違和感が感じられてならない。
さて亀田親子の今後だが、彼らはいま復讐の炎をメラメラと燃やしている。胸のすく思いを満喫しているやくみつる氏も、まだまだ安心してはいけない。長年にわたって身についた性格というものは、一晩や二晩で変わるものではない。彼ら兄弟は今回のことで、一度でも負けるとこんなにも悲惨な状況に追い込まれてしまうのだということを骨身に染みて思い知ったはずだ。「おやじの言っていたことは本当だったなぁ」と彼らは今つくづく実感していることだろう。父親は、負けた大毅をかなり厳しく叱責したはずである。大毅は、いまだに憔悴した状態にあるという。しかし当然のことだが、負けたという結果自体が現在の亀田家の状況を生んだのではない。人生には負けることもあるのだから横暴な威勢だけの生き方には限界があり、他人への労わりも大切なのだということを教えてこなかったことが、こんな状況を生んでしまったのだ。彼らはそうした原因や理由を考えようともせずに、今後も世界一の父親の下で“勝つ”ことを家族の絶対的な目標として、憎い世間に向かってこれまで以上に必死に練習してリベンジしてくるだろう。
すでに興毅は、協栄ジムに毎日せっせと通う練習なんかでペコペコ頭を下げていられるかとばかりにメキシコへ向けて飛び立った。父親は落ち込んでいるという話もあるが、彼らはすでに大きな収入を手にしているし、追放処置などほとんど痛くも痒くもないはずだ。興毅が世界王座を手にしたときに、父親の仕事はほとんど終わっていると言ってもいい。好き勝手にやっていた権限を手放すことにはなったが、あとは息子たちがもっと強くなって勝っていってくれればいいだけの話なのだから。金平会長としても、まだペイできてないのに冗談じゃないという気持ちがあるため、彼らをバックアップしないわけにはいかないだろう。しかも今後の育成次第によっては、さらに大きな金を産み出してくれるという計算もあるはずだ。
アンチ亀田サイドとしての希望は、ただひとつ。海外も含め他の選手たちが彼ら以上にトレーニングを積み、今後の亀田親子に勝ちを与えないで欲しいということに尽きると言える。内藤も、うかうかしてはいられない。ふたたび彼らに大きな顔をさせないためには、正統派の強さという対抗手段で迎え撃つしか方法はないのだ。
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